ミクロネシアのヤップ島には、直径が人の背丈を超える巨大な石の円盤が今も使われている。石貨「ライ」だ。

面白いのは、その価値の決まり方だ。大きければ高価というわけではない。価値を決めるのは、その石にまつわる物語——誰が、どんな苦労をして、どこから運んできたか。石が動かなくても所有権だけが移転し、島中の人がどの石が誰のものかを記憶で共有している。

現代の通貨制度が「国家の信用」を担保にするように、ライは「共同体の記憶」を担保にしている。訪問者が村に入る前に枝を拾うという礼儀作法と合わせて、この島の文化がいかに関係性と歴史を重視しているかが伝わってくる映像だ。