ベトナム南部の高地、聖山ルング山を仰ぐ森の中。Ma族・Srei族・Chil族ほかの部族が、ラタンと竹と土で作られた世界で暮らしている。

この映像で目を奪われるのは習慣の精巧さだ。男は Antiaris toxicaria の樹液を塗った竹矢で狩りをし、女は背負い機(バックストラップルーム)で幾何学文様や具象柄を一列ずつ織り込んでいく。高床式の家は部族ごとに形が違い、籠細工は男の仕事、編み物と家具は女の仕事と役割が厳密に分かれている。

夜、女たちが臼で籾を搗く音がリズムを刻む。それは「明日への不安」に駆られた反復労働だと語りは言う。その言葉が映像の静けさと重なって、妙に長く残る。

織りの起源神話——ヒンドゥーの精霊と綿花を教えた四姉妹の話——も語られるが、説明より映像の質感で見てほしい一本。